【透過性と半減却】前進気勢を溜め込む

前進気勢 中級者向け



前進気勢を溜め込む

前進気勢(推進気勢)とは、馬が前に行こうとする気勢のことです。

馬のエネルギーとも言えるでしょう。

どんな動きをするときでも、前進気勢は不可欠です。

より美しい停止を求めるのであれば、馬を止めるときでさえ前進気勢が必要です。

この記事は、初心者を脱却し、ある程度の前進気勢を自分で求められるようになった方向けに、「前進気勢を溜め込む」という考え方をご紹介いたします。

前進気勢を溜め込むことができれば、収縮や弾発、スムーズな運動の移行を求められるようになります。

前進気勢を溜め込む方法

溜める

まず「溜める」わけですから、前進気勢がないと話になりません。

脚、騎座(シート)、重心、すべてを活用して馬に前進気勢を求めます。

そして、その十分な前進気勢を、ハミで受け止めます。

そのために、後躯から生まれるエネルギーがうまくハミに伝わる必要があります。

すなわち、透過性を求める必要があります。

これでやっと前進気勢を溜め込む準備が整いました。

「前進気勢・透過性・ハミ受け」が成り立ったう上で、半減却はんげんきゃくを使います。

半減脚を使うことによって、馬が前進気勢を保ちながらも、バランスバックをして後肢を深く踏み込むことで、エネルギーを溜め込むことができます。

移行での応用

バネ

馬場馬術や部班馬術において、地点での明確な移行が求められます。

すなわち、1歩で移行をおこなう必要があります。

パソコンやスマートフォンですら指示を出してから表示するまでに時間差があるのに、動物である馬がその場で急な変化をできるはずがありません。

その地点に来る前から、準備をしているのです。

明確な移行をつくる手段として、「前進気勢を溜め込む」ことが非常に有効です。

たとえば、尋常速歩で入場してから、X点で停止をするとき、騎手はいきなりX点で停止の扶助を使うのではなく、それよりも前から準備をおこないます。

しかし、準備で使う減却扶助がそのまま馬の停止に変わってしまってはいけません。

あくまで、前進気勢を損なわず尋常速歩を続け、X点にて1歩で停止する必要があります。

ここで、半減却が活躍します。

力強い後肢の踏み込みを透過性を経た半減却で抑えることによって「あとほんの少しだけ減却扶助を加えると停止する」という状態を作ることができます。

イメージとしては、馬体というバネを前後からまっすぐ力を加えている感じです。

このようなステップを経て成り立つ停止は美しく、停止中でもエネルギーを損ないません。

敬礼後、X点から再び尋常速歩を始めるとき、前からバネを抑えていた力を少しだけ解放するだけで、軽やかな尋常速歩を1歩目から始めることでしょう。

このように、半減却は減却扶助だけでなく、推進扶助にも深く関わっているのです。

停止と速歩の他にも、すべての歩様や歩度の移行において前進気勢の溜め込みが応用できます

収縮と伸長での応用

「収縮」「伸長」とは、「溜め込んだ前進気勢(エネルギー)をどの方向にどの程度解放するかと考えることができます。

収縮とは「馬がバランスバックし、後肢を腹の下(騎座の下)までしっかり踏み込み、その前進気勢を透過性をもってハミで受け、馬がうなじからその衝突を逃がすようにがくを譲ることで、前躯ぜんく起楊きようし、前肢に強い弾発だんぱつが生まれた状態」を指します。

収縮運動では、「エネルギーを馬の内側にまとめ、それを上だけに逃がすかのように上方へ解放している」というイメージです。

伸長とは「収縮に比べて馬のバランスは前にあり、ハミで受けてはいるものの、前進気勢を前方に解放し、ハミを求めた馬は低伸姿勢を取り、前肢が伸び伸びと前に出ている状態」のことです。

伸長運動では、「エネルギーを前方に開放している」というイメージです。

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すべてに応用ができる

障害

前進気勢の抑制と解放はすべての運動で応用が可能です。

極端ですが、後方へ解放すれば後退になりますし、横へ解放すれば横運動になります。

前進気勢をつくり、そのエネルギーをまとめる

このプロセスの中に、柔軟性や真直性、コンタクトへの従順さなどが必要になってくるのです。