手前とは何か?
調馬索を外し、自分で馬を動かすようになってくると、手前という考えを意識する必要があります。
この手前とはいったい何のことでしょうか?
馬術において、手前には主に2つの意味があります。
1つ目は、「肢の運びにおける左右の偏り」のことです。
厳密に定義をするならば、遅れて踏み込む前肢側が手前になります。
この定義が適用されるのは、駈歩のみです。
*襲歩の場合も適用される
2つ目は、「馬場で運動をするときの回転方向」のことです。
内側がその運動の手前と定義されます。
つまり、左回りならば左手前、右回りならば右手前です。
馬場の壁(柵)に沿いながら、直線運動をしている場合でも、内側をその運動の手前といいます。
この定義は、すべての歩様に適用されます。
特に軽速歩の場合、騎手の動くタイミングが手前によって変わってきます。
内方と外方
レッスンを続けていく上で、「内方」「外方」といった言葉を耳にするようになってきます。
内方・外方とは読んで字のごとく、内側・外側という意味です。
左手前で運動している場合は、左側が内方で、右側が外方です。
馬の体勢が内側に屈曲しているとき、これを「内方姿勢」といいます。
内方や外方といった言葉は、馬だけでなく、あらゆる単語の前につけることができます。
たとえば、内方手綱であれば内側の手綱のこと、内方脚であれば内側の脚のことをさします。
手前の変え方(手前変換)

「手前を変えて」と指示があった場合、この「手前」の意味は、2つ目の「馬場上での回転方向」のことです。
駈歩の運動中に1つ目の意味で使われることもありますが、かなりレベルが高いことをしますので、現段階ではおそらく2つ目の意味でしか使われません。
手前を変える場合、馬は人間のように急に後ろを向くことはできないので、工夫をする必要があります。
手前変換は図形運動によっておこないます。
方法は主に以下の通りです。
手前を変える方法
- 斜め手前変換
- 半巻き
- 右(左)へ進め、蹄跡より左(右)手前
まとめ
- 手前とは、肢の運びにおける左右の偏りと馬場で運動をするときの回転方向のこと
- 内側・外側のことを「内方」「外方」とよぶ
- 手前を変えるときは、図形運動によって変える